家の中にふたりのおばあさんが入ってこられました。
よくわかりませんが わたしは気がつかれないようにしていました。
ひとりは小柄で腰が曲がっていて お顔には深いしわがありました。
もうひとりは少し背が高くて
色白で澄んでいるような肌でした。
腰の曲がったおばあさんは台所で
ガラス戸棚の中や シンクのまわりにあるものを見ていました。
色白のおばあさんは
居間で戸棚の上や小さい白いタンスの上を見ていました。
怖いとか怪しい感じはありませんでした。
ふたりとも知っているようで知らないようなひとでした。
もちろん何かチェックしているような感じでもなく
たとえばわたしが
仲の良い友人の家に伺った時に
自分の家とは違う様子をうっとりと見てしまう感じに似ていると思いました。
持っているゴフスタインの絵本のページみたいで
でもそれよりも落ち着いた感じでした。
そのうちに 居間にいらしたおばあさんが
いちばん大きな椅子の後ろの床に寝転がりました。
眠っているようでしたので傍に行ってみると
本当にきれいな肌で 「きれい!」と少し声が出そうになりました。
せめて枕でもと思い
あの真綿座布団をそっと頭の下に置いた時に
「ありがとう」と眼を開けて またすぐに眼を閉じられました。
びっくりしたところで
台所のおばあさんが食器をカチャカチャさせている音が聞こえてきて
わたしは目を覚ましました。