ここに引っ越して来たばかりの頃のおはなし。
まだ少し薄暗い朝の時間でしたが
2つとなりの棟の前に とても大きな犬が横たわっていました。
ドーベルマンとポインターともう少し体格の立派なシェパードを混ぜたような
40㎏以上はありそうな身体でした。わたしでも少しドキッとするような
目の前にいるのが不思議なくらいの犬でした。
1メートルくらい離れた距離から できるだけそうっと「大丈夫?」と聞くと
静かに起き上がって目を合わさずに歩いていってしまいました。
優しくされる事に期待はしないような 頭の良い拒絶を感じる落ち着きでした。
それから後のいつかの早朝には
片側2車線の車道の真ん中にある中央分離帯側をゆったりと歩いていました。
歩道を歩くと人が怖がることを知っているような
不思議な落ち着いた雰囲気がありました。
そしてこんなことを思ったのはそれが初めてで最後だけれど
悲しくて神々しいと思いました。
しばらくして
以前その犬を飼われていた人が 犬がまだ小さかった頃に
新しい引越し先には連れて行くことが出来ない為に
置いていったというおはなしも聞きました。
どうやって生きていたのかを思うと
とても苦しくてせつなくて何度も神様神様どうかお願いしますと思いました。
忘れられない思いです。
いつかのお手紙に書かれていらした
「よく 生きているって悲しいことばかりだなと思っていました。」という文章を
読ませていただいた時に
思い出して涙が出ました。